ドンキのUMPC「nanote」を購入。エミュレータ用途で使えるかを試す。
巷で話題になっているドンキUMPC「nanote」。
たまたま手に入ったので、当ブログらしく、エミュレータの動作確認をしました。
ドンキUMPC「nanote」について
UMPCとはウルトラモバイルPCの略で、概ね8インチ以下程度の超小型WindowsPCを指すものと思われます。
一時期下火になったジャンルですが、ここ数年で再び息を吹き返しつつあるのですが、
高級化路線が進み、10万円オーバーする機種も出てきており、最低構成でも5万円以上はする状態です。
そんな中、突如\19,800という衝撃プライスで登場したのがnanoteなのです。
スペックは以下の通り。(ドンキ公式HPより引用)
情熱価格PCシリーズ史上、最小・最軽量を実現したUMPC(超小型ノートパソコン)です。
360度回転可能な7インチのタッチパネル液晶画面とキーボードを搭載しながら、重量は約520gと軽量で、気軽に持ち運んで使用したい方に最適です。
また、画面を本体の背面まで回転させると、タブレットスタイルにできるなど、お好みのスタイルでの使用が可能です。
OSは、Windows10 Homeを搭載しており、ビジネスシーンでも活用できるため、多様化する働き方や個々の趣味・嗜好・ライフスタイルにあわせて使用できます。
さらに、前面に約30万画素のカメラを搭載しており、Webカメラとしても使用でき、テレワークでの使用にも最適です。
■型番:UMPC-01-SR
■カラー:シルバー
■CPU:Intel Atom Z8350 クアッドコア
■OS:Windows10 Home
■ディスプレイ:7インチ高彩度液晶 1920×1200
■タッチパネル:搭載
■メモリ:4GB
■ストレージ:eMMC 64GB
■WiFi:802.11b/g/n
■Bluetooth®:ver.4.0
■カメラ:前面0.3MP
■サイズ(約):181×113.6×19.6(mm)
■インターフェイス:microSD×1(256GBまで対応)、Type-C×1、USB3.0×1、イヤホン×1、microHDMI×1
■バッテリー:5000mAh/3.8Vバッテリー(約7時間稼働)
■付属品:ACアダプタ、 USBケーブル(約1.5m)、HDMI変換アダプタ、取扱説明書、保証書
■生産国:中国
割り切ったスペックではあるものの、ある種UMPCのあるべき形に立ち返ったような気がします。
というのも、10万円オーバーの機種が登場したニーズが、
「軽自動車のスピードが遅い。普通車並みのエンジンを積んでくれ。」というどこか本末転倒なところがあり、じゃあ軽自動車買うなよとツッコミたくなるような状況であったように思います。
軽自動車にあるべきエンジンを積んだ、それだけのことです。
なので、スペック表を見て、
「メモリはせめて8GB積め」
「さすがにもうAtomはいかんでしょ」
「この時代、WifiはAC非対応?」
とか思ってしまった人は素直に普通車(A4ノートPC)を買いましょう。
確かにスペックは低く見えますが、個人的には、
・360度回転してタブレット化できる(タッチパネル搭載)
・HDMIで大画面出力可能
・フルHD解像度
・WEBカメラがついている
・USBが3.0
・最初から液晶保護フィルムが張られている
装備に関して言えば10万円オーバーの機種と変わらない充実度でむしろ大満足なんですが。
一度UMPCを所有してみたかった
UMPCは実は結構前からあるジャンルで、ネットブックが浸透する少し前にまあまあ盛り上がっていました。
モバイルギアやシグマリオン、リナックスザウルスなど色々な製品が出ていた中、私がときめいたのが工人舎の「KOHJINSHA SAシリーズ」という製品です。
http://www.kohjinsha.co.jp/support/content/supt/sa/sa5kl08ad/index.html
職業がインフラエンジニアですが、15年ほど前、別ベンダー作業者がシスコルータの設定でこのUMPCを開いて作業し始めたのを見て、「なんじゃこのカッコイイのは!?」と今でもよく覚えています。
しかし当時から10万円程度はしていましたし、当然サブ機として買えるほどの金銭的な余裕もなかったので断念していました。
これが15年の時を経て、ついに私の手元にUMPCがやってきたのです。
nanoteはこのようなパソコンがアツかった時代を知るおじさんが手にする製品なんですかね。
触ってみた
だいぶ前置きが長くなりましたが、ここからは触ってみた感想です。
外観
最近のスマホも同じですが、ある意味テンプレ化されたようなデザイン。
UMPCのごく一般的な見た目です。
表面、裏面はひやっとした感じがあるのでアルミなど一応金属製のようですね。
剛性や廃熱のためでしょうが、見た目的には充分です。
裏面は結構熱くなります。
ちょっと心配になりますが、排熱できている証拠だと思っておきましょう。
ポート類
右からUSB Type-C、USB3.0、microHDMI、イヤフォンジャック、microSDスロットです。
Type-Cが充電ポートを兼ねており、付属品のアダプタはここに接続します。
なお、一般的なモバイルバッテリーも接続できましたので、出先で長時間使えそうですね。
USBは3.0対応ということで、これもトレンドを押さえた仕様がグッドです。
コネクターは結構固めで、引っこ抜くのに多少力がいりました。
隣接するHDMIはmicroタイプですが、付属品で変換アダプタがついていますので、手持ちのHDMIケーブルがそのまま使えます。
ただHDMIとUSBはポートが近く、同時利用すると物理的に干渉してしまいました。
USB側は延長ケーブルやハブなどを使って、USBデバイスの距離を取る必要がありました。
type-Cコネクタは充電だけでなく、こちらもUSBデバイスを利用できますので、Type-C対応製品があればこちらを使うことで物理的な干渉を避けることも可能です。
エレコム メモリリーダライタ Type-Cコネクタ 直挿しタイプ microSD専用 ホワイト MR3C-C012WH
- 発売日: 2017/11/18
- メディア: Personal Computers
Type-C対応のUSBデバイスがなく、通常サイズ(Type-A)のデバイスしかない場合、100均でも売られているType-C→Type-A変換コネクタを使う手もあります。
これでとりあえず通常サイズのUSBを2つ確保できます。
キーボード
今回UMPCを利用するのは初めてなのですが、どこもこのようなトリッキーな配列のようです。
これも先ほどの軽自動車とたとえと同じで、「もう少し何とかしてほしかった」なら素直にA4ノートを買うべしです。
こういうもんだと思って買ったので特別悪いとは思いませんでした。
ただ「、」「。」が下段の離れた位置にあるので、完全なブラインドタッチは難しかったです。
そしてポッチマウスまでついています。
これまで使用していたテキストマシン「T90chi」はキータッチは非常に優れていたのですが、ポインティングデバイスがタッチパネルだけなのが不満だったので、これは非常にうれしい。
もちろんマウスより操作性は格段に落ちますが、タッチパネルだけよりは格段に上です。
操作性や反応も悪くなく、マウスが使えないシーンで使う程度なら十分代用できるレベルです。
ディスプレイ
1920×1200の解像度で、光沢液晶なのでぱっと見の見栄えはかなりいいです。
ブラウザの文字もシャギー感はありません。
電子書籍や動画鑑賞デバイスとしてだけでも価値はありそうです。
アプリ利用
Office(フル機能版)
本機にはOfficeモバイルがプリインストールされていますが、仕事でどうしてもフル機能が必要なので、Office365よりクライアントアプリ版をインストールしました。
ちなみにOfficeはお名前ドットコムの激安プランで購入しています。
当然ですが、全く問題なく動きます。
起動が若干遅いですが、起動さえしてしまえばその後はさほど気になりません。
Kindle
高解像度かつタブレット化できるので、相性良さそうなKindleを試してみます。
まず起動はかなり遅くて15秒程度は待たされる印象ですが、これも起動さえしてしまえばまあまあです。
ただ最初から張られている液晶保護フィルムの影響か、タッチ操作がすこし引っかかる感じです。
このようにタブレットモードにすると電子書籍ビューワ風になりますが、500グラムありますので筋トレしながら見る状態になります。
エミュレータ
動作できそうな世代のエミュを選んでプレイしてみました。
基本的にエミュレータ側の設定はデフォルトのままです。
タブレットモードではなく、270度くらい回転させたスタイルで使うと、ゲームもとても見やすくていいですね。
PS1(ePSXe)
電車でGO!プロフェッショナル
たまにカクっとするような感じがあるものの、特に問題なく動作。
手持ちソフトが3D系しかなく、2D系の動作が不明ですが、3D系が特に問題ないので、スペック的な部分での問題は発生しないと思います。
サターン(uoYabause)
デイトナUSA
動作速度は大体50%程度。
これはある程度チューニングしてもプレイは難しそうです。
ヴァンパイアハンター
動作速度80~90%程度のような感じですが、負荷というか熱がこもりだしてくると70%程度まで低下するような感じです。
設定の最適化やちゃんと冷却すれば、サターンの2D系はいけそう。
サターンはなんせ2Dの名作多いですからね。ガーディアンヒーローズやりたい・・・
PSP(PPSSPP)
アキバズトリッププラス
そんなに軽い部類ではない3D系だと思うけど、PPSPPとの相性がいいのか、動作は非常にスムーズ。
デフォルトでPCに合わせた解像度なのでかなり高画質設定なのですが。
クラナド
何度でも泣くためにプレイしますよ、ええ。
さすがに2Dは問題なし。電子書籍サイズのせいか、UMPCでノベルゲーっていい感じ。
PS2(PCSX2)
クラナド
PSPで動くならいいじゃないかと思いつつ、私の2D系のベンチマーク的に動作確認するソフトなもんで。
結果としては動作速度50%くらい、さすがにPS2は苦しいです。
2Dでこの結果なので、3D系は特に動作確認しませんでした。
DS(DeSmuME)
逆転裁判2
これはしっかり動きました。
タブレットにもなるから、DSの2画面と相性いいですね!
まとめ
まず言いたいのは非常に興味深くて面白い端末です。
UMPCって今回初めて触ってみましたが、あまり実用的な感じはなく、仕事で使うのも厳しいし、かといってネットサーフィンやゲームも快適とは言えません。
ちゃんと使うのであれば時間・場所・用途を限定した一時的な利用なんでしょうが、不思議とついつい電源を起動してしまう魅力があります。
昔のUMPC、モバイルギアやシグマリオンまでさかのぼると、できないことが多かったのですが、とりあえず何でもできてしまうので、この小さなPCでどこまで、何ができるんだろうと探りたくなるのがつい使ってしまう要因なんでしょうかね。